おまる
「お風呂での赤ちゃんのうんち」は、子育てをした人のほとんどが経験することではないだろうか。
私は勝手に、この経験をしてこそ、子育ての一人前になれると思い込んでいた。

そういうわけで、娘がお風呂でうんちをしてくれることを願いつつ(親の願いとしては最もくだらない)、毎日お風呂に入れていた。
「親の心、子知らず(ちょっと違うが)」とはよくいったもので、娘はなかなかうんちをせずに、結局、外出中の時に、妻に先を越されてしまった。
しかも、私がお風呂に入った後に妻はうれしそうに話すのであった。
そういえば、お風呂に入った時に娘の匂いがするな、と思った気がしたが、それは娘の匂いといっても、うんちの臭いであったわけだ。
何も知らなかった私は、湯船に浸かり、そのお湯で体を洗っていた。

それから数日後、妻と一緒に娘をお風呂に入れようとした時のこと。
妻が先に入り、私が娘の服を脱がせお風呂に連れていこうとした時、娘のお尻から「ブホッ」との音がした。娘がおならをしたと思って、右腕で娘を抱き上げ、左手を娘のおしりにあてて、抱き上げようとした。
すると、娘のおしりには温かく、軟らかい物体があった。
事態がつかめずに自分の左手を見ると、そこには「うんち」が湯気を立てていた。「なんじゃこりゃあ」と松田優作ばりに叫んだ私は、右腕に裸の娘、左腕にうんちを乗せ、一瞬悩んだ後、左手に「ブツ」を乗せたまま妻に娘を手渡し、トイレに駆け込んだ。